スウェーデンのマイナンバー制度

海外のマイナンバー ~スウェーデン編~

今回は、スウェーデンのマイナンバー制度について調べてみました。以下、簡単にまとめていきたいと思います。

基本情報

エストニアのマイナンバー制度に関する基本情報は以下の通りです。

人口 約950万人
カードの取得義務 なし
マイナンバー(個人ID) 個人識別番号(10桁)
利用範囲 ・住民登録、税、社会保険、年金、兵役、統計、教育等
・民間分野
国民IDの歴史

遡ると始まりは1500年代、税徴収効率化のために協会が住民登録を行っていたとのこと。スウェーデンでは古くから住民登録が行われてきた。1571 年には教会で住民登録が始まっており、1686 年には登録方法が全国で統一された。1947 年には現在の番号制度であるPersonal Identity Number が導入された。その後、1966 年にはコンピュータによる記録の管理が開始され、1991 年には住民登録業務が教会から国税庁に移管された。現在の10桁になったのは1967年からであり、スウェーデン国税庁により付番されている。最初の 6 桁は生年月日、次の 3 桁は個人の固有番号(生誕番号と呼ばれ、男性は奇数、女性は偶数になっている)、最後の 1 桁はチェックデジットになっている。PIN は付番された個人の生涯にわたって不変であり、転居、結婚、改姓などで変化することはない。このようにスウェーデンにおける住民登録の歴史は長いために、国民のプライバシーに対する懸念が小さいと考えられている。

2017年9月より3代目のカードを発行が開始され、国民に取得義務はない。

利活用について

住民登録には、この個人番号と共に個人情報が登録されている。氏名、住所、出生地、子供、所有する不動産、教会区などの情報が含まれている。希望する国民は、年に一回自分の登録情報を確認することができる。また、行政手続きに必要な自分の情報を PIN を用いてダウンロードすることも可能だ。

PIN は税務、社会保障の目的だけではなく、一般の行政機関や民間でも利用されている。例えば、住民登録、納税、社会保険、福祉、失業保険、労働市場庁、奨学金庁との併給調整、雇用主との併給調整(傷病給与、傷病手当)、徴兵、郵便、不動産登記、警察、税務、各種行政サービス全般の本人確認、個人認証、教育、選挙、統計調査等、ほぼすべての分野の行政サービスで使用されている。社会保険の分野では例えば、年金の受給資格の管理・受給申請、保険料納付状況の管理、年金通知の送付、医療機関における患者管理・保険資格確認・医療費請求、ヘルスケア DB の構築等に使用されている。

また、民間での取引にも用いられることが多く、銀行取引、保険手続、レンタルビデオ店の会員登録、携帯電話の契約等あらゆる場面で利用されている。この番号の使用頻度はとても高く、誰もが覚えているとのこと。PIN と共に登録されている氏名、住所などの情報はSPAR(Swedish Population and Address Register, 情報登録庁, スウェーデン人口・住所登録機関)から民間にも有料で提供されている。スウェーデンには本人確認の手段として e-ID カードがある。e-ID カードは国税庁によって発行されており、写真、氏名、サイン、PIN、有効期間が記載されている。このカードを用いることにより行政手続きにかかる時間が大幅に削減され、数分でパスポートが発行できるようになったという。

特徴的な仕組み

国税庁が管理する住民登録データベースから他の省庁に、通知レジスターを通じて、新規の住民登録情報や変更情報(住所等)が提供される。個人識別番号(PIN)をキーとして、情報が提供される。
住民登録データベースの記載情報は個人識別番号、氏名、住所、婚姻ステータス、家族関係(両親、配偶者、子ども、保護者、養子縁組)、出生地、国籍、移民か否か、住民登録からの離脱原因(死亡、海外移民等)、死亡地 等である。
個人識別番号をキーとした上記の情報照会・提供は、住民登録データベースとの間に限らず、他の省庁の間でも行われる。ただし、情報照会・提供には法令上の一定の制約が存在する。

民間企業に対しても、SPAR(人口・住所レジスター)が整備され、銀行、生命保険、クレジット会社等の約300の民間企業が住民情報をオンラインで取得できる。SPARの情報は、国税庁の住民登録データベースから通知レジスター経由で提供されている。
民間企業は顧客に個人識別番号(PIN)を提示してもらい、PINを用いて個人情報の真正性確認や住所情報の更新を行う。いずれも有料である。DM送付目的での取得も可能だ(ただし、本人のオプトアプトも可能)。

国税庁は、雇用主・金融機関・保険会社等から提出された法定調書の情報を個人識別番号(PIN)で名寄せし、納税者ごとに記入済み確定申告書を作成する。給与所得、配当所得、雑所得などの情報や源泉徴収額が記入される。
納税者は、国税庁から送付された記入済み確定申告書の内容が正しいかどうかを確認し、間違いがあれば訂正し、不足があれば書き足して、最終的に署名して紙または電子で納税申告を行う。

 

以上、今回はスウェーデンのマイナンバー制度についてでした。

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