海外のマイナンバー ~カナダ編~
今回は、カナダのマイナンバー制度について調べてみました。以下、簡単にまとめていきたいと思います。
基本情報
カナダのマイナンバー制度に関する基本情報は以下の通りです。
人口 | 約4,000万人 |
カードの取得義務 | なし |
マイナンバー(個人ID) | 社会保険番号(Social Insurance Number: SIN) |
利用範囲 | ・行政分野(社会保障、税) ・限定的な民間分野 |
国民IDの歴史
カナダでは、1964年に社会保険番号(SIN)が導入されました。これは、年金や失業保険、その他の社会保障給付を管理するために、国民一人ひとりに固有の9桁の番号を付与するものです。SINは、カナダ市民、永住者、一時滞在者が、カナダ国内で就労したり政府のプログラムや給付金を受け取ったりする際に必要となります。
当初はプラスチック製のカードが発行されていましたが、現在はセキュリティ強化とコスト削減のため、番号を記載した証明書(紙)が発行される形に移行しています。
利活用について
SINは、主に政府の社会保障プログラムや税務手続きで利用されます。雇用主はSINを使用して従業員の社会保険料と所得税を徴収し、政府に納付します。また、失業保険(Employment Insurance)やカナダ年金制度(Canada Pension Plan)などの給付を受けるための本人確認にも使用されます。
行政手続きでは、納税申告や政府プログラムへの申請などでSINの提示が求められますが、民間での利用は厳しく制限されています。法律で認められた特定の目的(銀行口座開設、信用調査など)以外でSINの提示を求めることは禁止されており、これによりプライバシーの保護が図られています。
特徴的な仕組み
カナダのSIN制度の最大の特徴は、**「民間利用の厳格な制限」**です。アメリカのSSNのように広範な民間利用は許可されておらず、SINはあくまで政府機関とのやり取りで使うための番号という位置づけが明確にされています。これにより、SINの不正利用や個人情報の漏洩リスクを低減し、国民のプライバシーを保護しています。
また、2014年からは、社会保険カードの物理的な発行を廃止し、紙製の証明書を郵送する形に移行しました。これにより、カードの紛失・盗難による不正利用リスクを軽減し、国民にSINの厳重な管理を促しています。
以上、今回はカナダのマイナンバー制度についてでした。