海外のマイナンバー ~オーストラリア編~

今回は、オーストラリアのマイナンバー制度について調べてみました。以下、簡単にまとめていきたいと思います。

基本情報

オーストラリアのマイナンバー制度に関する基本情報は以下の通りです。

人口 約2,600万人
カードの取得義務 なし
マイナンバー(個人ID) 税務ファイル番号(Tax File Number: TFN)
利用範囲 ・行政分野(主に税、社会保障)
・限定的な民間分野
国民IDの歴史

オーストラリアでは、包括的な国民ID制度は存在せず、税務ファイル番号(TFN)が事実上のマイナンバーとして機能しています。TFNは、1988年に導入された9桁の番号で、主に税務手続きと年金制度の管理を目的としています。TFNは、納税義務があるすべての国民や居住者が取得し、原則として一生涯を通じて使用されます。

当初は紙の通知書が発行されていましたが、現在はオンラインでの管理が中心となっており、税務当局であるオーストラリア税務庁(ATO)のウェブサイトでTFNの情報を確認できます。

利活用について

TFNは、主に税務申告と年金制度の管理に利用されます。雇用主はTFNを使用して従業員の所得税を徴収し、年金基金はTFNを使用して個人の年金口座を管理します。TFNがない場合、所得税が最高税率で徴収されたり、年金口座に納付された年金が適切に管理されなかったりする可能性があるため、就労者にとっては必須の番号です。

行政手続きでは、納税申告や教育ローンの申請などでTFNの提示が求められます。民間分野での利用は厳しく制限されており、銀行口座の開設や雇用契約といった特定の目的以外でTFNの提示を求めることは法律で禁止されています。

特徴的な仕組み

オーストラリアのTFN制度の最大の特徴は、**「プライバシー保護を重視した利用制限」**です。政府は、包括的な国民ID制度の導入に際して国民から強い反対があった歴史的経緯から、TFNの利用範囲を厳格に定めています。これにより、TFNが個人の信用情報や医療情報などと安易に結びつくことを防ぎ、国民のプライバシー保護を徹底しています。

また、政府は、デジタルでの本人確認を効率化するために「myGovID」というデジタルIDシステムを導入しています。これは、TFNとは別に、オンラインサービスへの安全なアクセスを目的としたものであり、利用目的を明確に分けることで、プライバシー保護と利便性の両立を図っています。

以上、今回はオーストラリアのマイナンバー制度についてでした。

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