承知いたしました。スウェーデン編の項目立てと構成を参考に、イギリスのマイナンバー制度について記載します。

海外のマイナンバー ~イギリス編~

今回は、イギリスのマイナンバー制度について調べてみました。以下、簡単にまとめていきたいと思います。

基本情報

イギリスのマイナンバー制度に関する基本情報は以下の通りです。

人口 約6,700万人
カードの取得義務 なし
マイナンバー(個人ID) 国民保険番号(National Insurance Number: NIN)
利用範囲 ・行政分野(社会保障、税)
・民間分野
国民IDの歴史

イギリスでは、1948年に国家的な社会保障制度が導入された際に、その管理のために国民保険番号(National Insurance Number: NIN)が創設されました。この番号は、労働者が社会保険料(National Insurance contributions)を支払う際に使用され、年金や失業手当、疾病手当などの給付を受けるための資格管理に不可欠なものです。

当初は紙製のカードが発行されていましたが、現在はプラスチックカードやデジタルでの管理が主流となっています。NINは、生後16歳になる直前に自動的に割り当てられるか、国外から移住した場合は英国政府に申請して取得します。この番号は一生涯を通じて個人に付与され、変更されることはありません。

利活用について

国民保険番号(NIN)は、主に社会保障制度と税務において使用されます。具体的には、雇用主はNINを使用して従業員の社会保険料と所得税を徴収し、政府に納付します。また、失業手当、疾病手当、年金、障害者手当などの様々な社会保障給付を受けるための本人確認にも使用されます。

行政手続きにおいては、納税申告、医療サービスの登録、運転免許証やパスポートの申請など、多くの公的サービスでNINの提示が求められます。民間分野でも、銀行口座の開設、ローンの申し込み、賃貸契約など、本人確認が必要な場面でNINが利用されることがあります。ただし、NINはあくまで社会保障と税務のための番号であり、運転免許証やパスポートのような身分証明書としての公式な機能はありません。

特徴的な仕組み

イギリスの国民保険番号(NIN)は、社会保障と税務が統合された形で管理されている点が特徴的です。雇用主は、NINを用いて給与計算と同時に所得税および社会保険料を源泉徴収する「PAYE(Pay As You Earn)」という仕組みを利用しています。これにより、納税者は年末調整のような複雑な手続きを必要とせず、給与から自動的に税金と保険料が天引きされるため、徴収効率が非常に高くなっています。

また、英国政府は「GOV.UK」という統一されたデジタルサービスプラットフォームを整備しており、国民はNINを使用してこのプラットフォームにログインし、税務情報、年金記録、各種給付金の申請状況などを一元的に管理・確認できます。これにより、各行政機関が個別に情報を管理するのではなく、共通の番号をキーとして情報を連携し、国民へのサービス提供を効率化しています。

以上、今回はイギリスのマイナンバー制度についてでした。

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